
常々私は音楽や芸術、お茶などは「時間」など目に見えないものを意識できるものとして形作る、ひとつの手段だと考えている。そして私が音楽をするのは、それらを見てみたいからだ。
目に見えないものは時間だけではなく、自分の心の奥深いところだったり、見えているのに見えていないもの、おおいなるもの。
例えば3分の曲をチェロで弾くとき、その時初めて3分間を自分の中から消え去り、そして自分の3分間を形作り感じることが出来る。もちろんそれは演ずる側の自分だけではなく、聴く人側の心にもその人の3分間が生まれ形作られる。

そこには何が見えるのだろう。
考えるだけでドキドキする。
刻々と変化し続け、また2度と同じ音を出せないその瞬間に驚き楽しんでいるからこそ、私は44年という時間を音楽と共に生きている。
皆さんの心の中に何かが見えることを祈り、聴いてくださることに感謝である。